- コラム
こどもたちを守る木のチカラ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます
能登半島地震で被災された皆様 ならびにそのご家族の皆様の安全と
被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます
旧年中は大変お世話になり 社員一同心より御礼申し上げます
本年も 国産材・地域産材 活用企業として努めて参りますので
より一層のご支援 お引立てを賜りますよう お願い申し上げます
来年2025年に開催される大阪・関西万博では、リング状の大屋根が木造でつくられるなど、「木材利用」という言葉が広く認知されるようになりました。
木材利用といえば木造、と思われる方も多いかもしれませんが、内装に木材を使う“内装木質化”も立派な木材利用です。
特に、私たちが日ごろから携わっている学校づくりにおいては、この内装木質化が木材利用の大きなウェイトを占めています。
最新の文部科学省の調査によれば、2022年度に新たに建築された学校施設は676棟。そのうち約7割の477棟で、構造体や内装に木材を利用したとのこと。
利用された木材の総量は29,815㎥(立米・立方メートル)で、このうちなんと約7割が非木造施設における内装木質化での利用だったとのことです。
出典:「公立学校施設における木材利用状況(令和4年度)」(文部科学省)
木材利用、とくに国産材利用は、地球環境保全や山村地域振興等の観点からも推奨されているところですが、メリットはそれだけではありません!
ここで改めて、学校づくりに木材が適していることを示す研究結果をいくつかご紹介したいと思います。
以下主な 出典:「木材は人にやさしい」(林野庁)
こどもたちの健康を守る
木材は、湿度が高いときには空気中の水分を吸い、逆に湿度が低いときには水分を放出するという調湿作用をもっています。
このグラフは、内装の材質の違いによる湿度変化を示しています。木材は湿度50%前後に調湿していることがわかりますね。
ちなみに…
このように湿度50%というのはウィルスやダニ、呼吸器感染症、アレルギー性鼻炎などの影響が最も少ない湿度ということが、ASHRAE(アメリカ空調学会)による研究から分かっています。
木は調湿することで、こどもたちを病気から守ってくれるのですね。
こどもたちを寒さ・冷たさから守る
木材は、それぞれ空気を含んだ無数の細胞から構成されている、硬いスポンジ(あるいはストローのかたまり)のようなもの。
空気は熱を伝えにくいため、空気を多く含む木材も熱を伝えにくい=断熱性が高い(熱伝導率が低い)材料なのです。
このグラフの通り、木材、ビニールタイル、コンクリートを床材にして、足の甲の皮膚の温度変化を測定すると、木材が最も冷えなかったという結果が得られています。
木の断熱性は、こどもたちを寒さ・冷たさから守ってくれるのですね。
こどもたちの目を守る
ブルーライトや紫外線は、目の疲れや頭痛・肩こり・睡眠障害の原因になるともいわれます。
木材はこれらの波長の光をよく吸収するため、目に与える刺激も小さく、目にやさしい材料であるといえます。
とくに近頃は一人一台端末の利用など、学校でも液晶画面を見る時間が増えており、こどもたちの目の健康が危ぶまれています。
木材は、こうした目の疲れからこどもたちを守ってくれます。
リラックスさせ、情緒を安定させる
木材の香りには、血圧を抑え脳の活動を落ち着かせるリラックス効果があることが分かってきました。
さらに別の研究でも、RC(鉄筋コンクリート)造の校舎と木造校舎を比べると、木造校舎の方がこどもたちの情緒が安定しているという結果が出ています。
通学する年齢は多感な時期でもありますが、木材はこどもたちの情緒を安定させてくれます。
学校づくりに木材が適していることを示す研究結果、いかがだったでしょうか?
実は、ここに挙げたような調湿効果も断熱性も、光の反射特性もリラックス効果も、他の人工素材や方法で補うことは可能なのです。
でも本当の木のスゴさは、この圧倒的な性能バランスの良さ。
たったひとつの材料で、ここまで各種性能が良く、また環境負荷も少ない建材は他にないのではないでしょうか。
今回は主に身心への影響について取り上げましたが、もちろん他の魅力もまだまだたくさんありますので、またの機会にまとめてみたいと思います!お楽しみに!