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「銘木」に学ぶ 木材の価値


かつて世界一の大都市といわれた江戸の木材需要を支えた東京都江東区・木場エリア。
ここで銘木(めいぼく)を扱う前山銘木建材・前山社長に、銘木に見る”木材の価値”について教えていただきました。


 

△銘木を語る前山社長

一般的に「銘木」とは、希少価値の高い木材や、珍しい木目を持った木材のことを指しますが、銘木かどうかを決める明確な定義はありません(だからこそ奥深い!)。

そのため本当に様々な銘木が世の中にありますが、例えばウォールナット・チーク・マホガニーといった樹種は「世界3大銘木」と言われることもあります。
日本の木では、欅(けやき)・栃(とち)・栗・松・檜(ひのき)など、全国各地で開催されている「銘木市」という市場では様々な樹種が取引されています。

また樹種による判断だけでなく秋田杉・吉野杉・木曽檜など、名高い林業地域から得られた良質な木材も銘木として取引されます。

 

△栂のカニ杢

前山さんに見せていただいたのは、栂(つが)のカニ杢(もく)

「杢(もく」とは、木目の模様のなかでも複雑な木目や希少な木目を指しますが、その中でもカニ杢(蟹杢)は、蟹の甲羅のような木目が連続しているものを言うそうです。

このように樹種や産地ではなく、木目模様によっても銘木とされることがあります。

 

△錆丸太(左奥)

次に見せていただいたのは、茶室や数寄屋造りで用いられる銘木、錆丸太(さびまるた)

表面のまだらな黒っぽい模様はカビによるもので、梅雨時期の丁度良い雨模様を見計らって、皮をむいたヒノキを山中で放置しカビを付着させて作ります。
なかでも錆びた雰囲気が良い具合に出た丸太は特に高価格で取引されるそう。

自然の作用によって生み出される風合いを愉しむなんて、なんて素敵なんでしょう…!

 

最後に見せていただいたのは、木造船に使われていた古い板
荒々しい見た目ですが、木目は細かく、触ってみると柔らかい仕上がりで、荒々しさと優しさを感じる、何とも言えぬ風合いです。

 

荒波の海や凪の海など、この板に刻まれた記憶が感じられます。

 


このように、木材の品質や希少性、または物語の奥深さによって、様々な木材が銘木として取引されます。

私たちは日頃から、特に木材の「産地」にこだわり、国産材・地域材・交流都市材を使ったものづくり・空間づくりを行っています。
木を単なる「木材」として扱うのではなく、「日本の木」「地元の木」「親しみのある地域の木」といった物語を大切に、これからもさらに木材の持つ物語を引き出して、世の中に届けていければと思います。