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【中央区の森】山村地域と連携した環境保全事業


先日ご紹介した中央区立図書館「本の森ちゅうおう」では、中央区が檜原村で森林保全活動を行う「中央区の森」で間伐された木材が多く使われています。
今回は「中央区の森」に関する事業内容や今後の活動について、区の環境土木部環境課長にインタビューさせていただきました。
(参考)「中央区の森」について(中央区ホームページ)

▲中央区環境土木部環境課長 武藤 様

 

「中央区の森」のきっかけと狙い

▲東京都西多摩郡檜原村に位置する「中央区の森」

平成17年に京都議定書が発効され、温室効果ガスの排出量削減目標が掲げられました。
これに伴い中央区では、地球温暖化防止に寄与する事業として檜原村において森林保全を行う「中央区の森」事業を平成18年に開始。全国に先駆けて、行政エリアを越えた広域的な取り組みが行われました。

環境土木部環境課長 武藤様:
平成18年の事業開始以来、面積を拡大しながら、間伐や植栽などの保全活動を支援しています。
事業の一番の目的は、森林が荒廃しないように守り・育てること「中央区の森」がある檜原村は広葉樹林が多く分布していた地域であるため、針葉樹林から広葉樹林にすることにより、檜原村に本来ある自然豊かな森に復元することを目指しています。
森林が持つ多面的な機能の役割を果たせられるよう、区として今後もサポートしていきたいです。

 

檜原村と進める森林保全のかたち

▲「中央区の森」間伐の様子

「中央区の森」は現在、数馬地区(約37.4ha)・南郷地区(約4.9ha)・矢沢地区(約4.4ha)・本宿地区(約4.6ha)の4地区、合計約51ha(1ha=10,000㎡)で森林保全活動を支援しています。
私有林である数馬地区は地元のNPO法人が管理し、区はNPO法人が実施する森林保全活動にかかる費用の助成を行っています。村有林である他の3地区は、区が業者に委託をして森林保全活動を行っています。

環境土木部環境課長 武藤様:
檜原村の森林は「中央区の森」に限らず急峻であるため、木を伐っても搬出するのに一苦労で費用もかかります。そのため管理が行き届かない森林が未だ数多くあるので、区としてもバックアップしていく方針です。檜原村と連携を取りながら協定地として整備できる面積を増やしていき、体制を整えていく必要があると感じています。具体的には、現在の4地区はそれぞれ隣接していませんが、将来的にはまとめて整備できるよう改善していきたいと考えています。

都心にある中央区と、山村地域にある檜原村。同じ都内といえど大きく異なる地域同士の連携事業ですが、どのように意思疎通されているのでしょうか?

環境土木部環境課長 武藤様:
中央区・檜原村・区民の代表者数名が集まり、今後の進め方や方針について意見交換する協議会が年2回開催されるほか、普段から村役場や森林組合等、関係者とのコミュニケーションを多くとることを心掛けています。
区長と村長が互いに訪問し合うなど、自治体間での交流も盛んです。また、区の環境イベント「エコまつり」に村役場や地元NPO法人の方も参加していただき、檜原村の農産物の販売や間伐材の丸太切り体験などを行っています。
このような活動を通じて密に連携が取れるよう、これからも関係性を築いていきたいです。

 

中央区の環境イベントは大人気!

▲「中央区の森」間伐材を使ったワークショップを実施

環境土木部環境課長 武藤様:
「子どもたちを自然に触れさせてあげたい」「都心部でも自然体験ができないか」と区民からの要望を受け、「檜原村自然体験ツアー」を開催しています。令和4年度は親子向けプログラムをメインに
、季節に応じたイベントを年12回行いました。
ツアーでは、できる限り子どもたちに自然に多く触れてもらうため、檜原村の間伐材を使ったものづくりやキャンプ、焚火体験等を実施しました。毎回定員数を超える多くの応募があり、大変ご好評をいただいています。

▲「中央区の森」を散策する様子

▲「中央区の森」森林作業道の整備体験

▲親子で川遊びしながら自然を満喫

環境土木部環境課長 武藤様:
都心部に森林がない分、檜原村の豊かな森を訪れ、森や自然の空気を感じながら、区民の皆さんが「知る・学ぶ」機会を多くつくり、地域間の交流を深めていければと思います。

また将来的には区民だけではなく檜原村の子どもたちも一緒に参加できる体験ができればと考えており、自然や環境問題に対して関心を持つ方々が増えることを期待しています。
今後も村役場の方々や現地事業者のご協力をいただきながら、活動を継続していきたいと思っています。

 

木材利用で環境問題に取り組む

2022年12月4日にオープンした図書館「本の森ちゅうおう」では、弊社の製作する書架などの家具材に「中央区の森」の木材を使用させていただきました。
中央区では、これまでも学校施設などの公共施設に積極的に木材を活用されていますが、改めて木材利用に寄せる想いについて伺いました。

環境土木部環境課長 武藤様:
今回使用した「中央区の森」材は、間伐の時期と木材を活用できるタイミングが合い、「本の森ちゅうおう」で活用することができました。今後搬出間伐を実施する際には、施設やイベントで利用できるかどうか、間伐量とのバランスをみながら活用を考えていきたいと思います。

環境土木部環境課長 武藤様:
木には炭素を閉じ込めることができる大きな役割があり、CO₂吸収源として大切な資源の一つです。私たちも環境問題に対する取り組みとして、今後も木材を積極的に有効利用していきたいと考えています。

 


インタビューを終えて

武藤様より「中央区の森」に対する想いを伺い、未来を担う子どもたちに環境保全に関心をもってもらえるよう各地域と連携体制をつくっていくことの大切さ、そして都心にある中央区が森林を守り育てることの大切さを学ばせていただきました。
お話しさせていただきながら、私たちの木材活用の経験と技術を活かして、このような取り組みを引き続きサポートさせていただきたいと強く思いました。

(インタビュアー:吉田、撮影:中野)

 

【事例特集】本の森ちゅうおう ―「中央区の森」材の活用

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