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【出張授業】樹木の成長を学び、次の世代へ繋ぐ(後編)


今年も、東京都立 立川国際中等教育学校附属小学校 様にて行わせていただいた木育の出張授業。
2年生・3年生に行った新しいプログラムのレポート後編です!

レポート前編はこちら!

みんなで年輪を描いてみよう!

樹木は、1年に1つ年輪を重ねながら太ってゆく。頭の中では何となく分かるけれど…?
感覚的に理解するには描いてみるのが一番!ということで、グループに分かれて模造紙に年輪を描いてもらいました。

ただ描くだけではつまらないのでゲームっぽく!


制限時間は2分!ひとり1つ輪っかを描いたら、次の人が外に輪っかを描いて、また次の人にペンを渡してあげます。
ルールは、

  • 描き始めと描き終わりを繋げて、丸にしてあげること
  • 内側の輪っかに触らない、跨がないこと
  • できるだけ綺麗な輪っかにすること
  • 1年、2年と、みんなで掛け声して年数を数えながら描きましょう

それでは早速!よ~い、スタート~!!

「いちね~ん!にね~ん!」と教室内に元気な声が響きます。

残り1分!だんだん年輪が大きくなってきました。

年輪が大きくなってくると、反対側までこどもたちの手が届かなくなってしまいました・・・。これは想定外(汗)
でも、お友達と協力して、手を添えたりペンを受け渡したりしながら年輪を描いてくれました。

3! 2!  1!
終了~!!!

それでは、各グループの年輪をみんなで見てみましょう。

みなさん協力しながら、本当に上手に描いてくれました。
年輪が粗くてとっても大きい丸太や、小さいけれど年輪が細かくて綺麗な丸太。
これは実際の木材と同じで、同じ樹種でも生育環境や遺伝子によって色々な丸太が出てきます。

年輪が粗いから悪い?細かいから良い?
丸太が太いから良い?細いから悪い?
もちろん、そんな決まりはありません!用途によって木の良し悪しは変わるんですね。

たとえば宮崎県の飫肥杉(おびすぎ)は、年輪が粗くて油分が多いという特徴があります。
年輪が粗いということは、密度が低くて曲げやすく、かつ粘り強いということ。さらに油分が多いので腐りにくい。
飫肥杉はこのような特徴で、かつて木造船をつくるために重宝されました。
そのため飫肥地域では、この品質を守るために、杉を挿し木で植林してきた歴史があります。

 

樹木はゆっくり育つ、ということ

年輪を描いて、樹木の成長が体感?できたところで、本物の丸太の輪切りを見てもらいました。

「いい匂いがする!」
「キレイ~」
「年輪はいくつだろう?」

色々な感想が飛び交います。すぐに年輪を数え始める子たちも・・・!

配った丸太は、おおよそ50年生の杉。
絵を描いてから本物を見ると、年輪が本当に緻密にできていることが分かります。
また50年生でも、絵で描くよりずっと細いことが分かりました。

 

人にとって木は必要?

それでは、私たち日本人がどれだけ木を使いながら生きているかを考えてみます。

身の回りには、木でできているもの、原料が木でできているものが、たくさんあります。
住宅、楽器、お椀、箸、鉛筆、コピー用紙、段ボール、ティッシュペーパー、などなど・・・。

令和6年度 森林・林業白書では、日本の人口一人当たり木材需要量は0.64㎥/人ということです。
50年生の杉1本は0.4~0.7㎥程度なので、日本人1人あたり50年生の杉を約1本まるまる消費していることになりますね。

さらに、木材を生み出す森林のことを考えてみます。

森林は、木材を生み出すだけでなく、水と空気を綺麗にして、豊かな土をも作ってくれます。
この綺麗な水と栄養豊かな土によって、お米や野菜などの美味しい食べ物を食べることができるんですね。

人が生きていくうえで、森と木がとても大切なものだということが分かります。

 

森と木を、次の世代へ

樹はゆっくり育つこと、そして人が生きるためには森と木が必要だということが分かりました。
次の世代のために森と木を繋いであげるために、できることはなんでしょうか?

1つは、木を大切に使うということ。
確かに現在の日本は、森が多い緑豊かな国です。でも樹を伐れば、植えた樹がまた使えるようになるまでに長い年月を要します。
だから木をできるだけ大切に、使えるものは長く使ってあげることが大切です。

もう1つは、伐ったところにまた植えて、森を繋ぐということ
いま私たちが木を使って生活できるのは、昔の人が私たちに繋いでくれたから。

森と木は人間が生き延びる上でとっても大切なものなので、大昔から人間は樹を植えてきました。
約6000年前、縄文人は栗の樹からクリを採って食べ、さらに栗の木は丈夫なので建築の材料にも使いました。縄文人は、栗の樹が絶えないように、植林していたことが分かっています。

樹はゆっくり育つこと。人が生きるために森と木が必要だということ。
そして、木を大切に使って植えて、森と木を未来に繋ぐこと。

2年生・3年生、それぞれ45分ずつの駆け足の授業でしたが、みなさんとてもよく集中してお話を聞いてくれました。
いつか、みんなで年輪を描いたことを思い出して、今日のお話を覚えていてくれれば嬉しいです。

 


帝国器材株式会社では、このような木育出張授業や木育ワークショップ等についてもご相談承ります。
とくに学校における出張授業・ワークショップでは、学校家具製造・学校内装木質化を主業としている私たちだからこそできるプログラムを心がけています。

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